小学校五年生のその少年は学校の授業で、先生から今日の夜中の二時頃に皆既月食があると聞いた。
どうしてもそれが見たくなった少年は、友達と夜中の二時に近くの歩道橋の上に行くと約束をした。
布団の中でその時間が来るのを待ち、その時間が来ると、一目散に外に飛び出して行った。
友達はすでに歩道橋の上で空を見上げていました。
月食が始まると二人は興奮して、その時が夜中だという事も忘れ、はしゃいでいたら、突然、歩道橋の両方の階段から黒い人影が現れた。二人は驚いてその場に立ち尽くしてしまいました。
近づいて来たのは、おまわりさん だった。近所の住民から歩道橋の上に不審者がいると通報があったとの事。
おまわりさんは少年達に、ここで何をしてるか聞いてきました。
「月食を見ています」少年は答えた。
すると、おまわりさんはこう言ったのだ。「そうか、じゃあ月食が終わったらすぐ帰りなさいよ」
そう言い残し歩道橋をあとにした、おまわりさんは少し離れた所でパトカーを止めて、少年達が無事に家に帰るまで見守っていました。
今から40年程前の私の経験談です。
もし、あの時、おまわりさんが、「こんな時間にそんなものは見なくていい!早く帰りなさい!」と言っていれば子供だった私の好奇心は粉々に砕かれていたかもしれません。
子供の好奇心を守るのは大人の責任なんですね。
あなたにもこんな経験ありませんか。